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とうもろこし

(1)コーンスターチ

 コーンスターチは、とうもろこしに最も多く含まれている成分であるでん粉を精製・乾燥して作られ、長期保存が可能です。我が国ででん粉の原料として利用されている農産物には、とうもろこしの他にもばれいしょ、かんしょ、小麦などがありますが、コーンスターチは中でも極めて純度が高く、品質を均一に保てるという大きな特長があります。

コーンスターチは、異性化液糖などの糖化原料やビール、水産練り製品などの食品用途にとどまらず、ダンボール、製紙、繊維などの工業用途、更には、医薬用途などの幅広い分野で利用されています。

(2)糖化製品

コーンスターチなどの精製でん粉を酸または酵素で加水分解すると、最終的には全てぶどう糖になりますが、加水分解の程度により中間的な糖類の混合物が得られます。これらは加水分解の程度により特有の甘味、特長を持っています。  

①水あめ

     水あめには酸糖化水あめ、酵素糖化水あめ、麦芽の風味を特長とする麦芽あめなどがあり、更にこれらを粉末乾燥した粉あめがあります。

古くから甘味料として利用されてきた水あめは、砂糖に比べマイルドな甘味と適度な粘性をもつため、菓子などに利用した場合、ボディ感の形成や味の引き立て役として貴重な素材となっています。そのため用途も多彩で、調味料、製菓、製パン、ジャム、佃煮、漬物、冷菓、餡、醸造用など永年にわたって愛用されています。

②ぶどう糖

水に溶けやすく、砂糖に比べ爽やかな甘味で、菓子や甘味料・粉末調味料、醸造用などに使用され、また医薬用として栄養剤、注射用にも使用されています。

③.異性化液糖

 ぶどう糖を酵素の働きにより果糖に変えて(異性化と言います。)作られ、果糖とぶどう糖が混合した液状の糖化製品です。このうち、果糖分42%程度のものをぶどう糖果糖液糖、果糖分55%程度のものを果糖ぶどう糖液糖、果糖分90%以上のものを高果糖液糖と言い、果糖分55%のものが砂糖と同等の甘味を有します。
また、果糖とぶどう糖が1対1で科学的に結合している砂糖(2糖類)に比べ、異性化液糖は、果糖とぶどう糖(どちらも単糖類)が混合しているものなので、果糖とぶどう糖の混合比率を変えることにより甘味を調節することができるメリットがあります。

果糖の強い甘さとぶどう糖の爽やかな甘さが調和し、また低温で甘味を強く感じる性質があるため、砂糖に替わる甘味料として清涼飲料や乳酸菌飲料、冷菓などに使用されています。

④果糖

各種糖類の中で甘味度と溶解度が最も高く、栄養エネルギー源としても優れた特徴を持ち、医薬、健康食品、スポーツドリンクなどに使用されています。

砂糖や異性化液糖に対し、低温下での甘味が強く、甘味が同じ場合、使用量を少なくすることができるため低カロリー甘味料といえます。

(3)加工でん粉

加工でん粉は、コーンスターチなどの精製でん粉に物理的処理を行ったものや化学的処理を行ったものの総称です。
加工でん粉を食品に添加することで、粘性や保水性、食感、日持ち、冷凍耐性などを改良することができることから、消費者の様々な要望に応えるために幅広い食品に対して使用されています。
また、食品のみならず工業用途にも広く使用され、例えば紙の強度付与や印刷適性向上などを目的に大量に製紙分野へ使用されています。

(4)副産物

コーンウェットミリングでは、コーンスターチ以外に4種の副産物が生産されます。

①コーングルテンミール

 とうもろこしより分離されたタンパク質を主成分とし、栄養的に有用なアミノ酸・ビタミン類・無機塩類などを含んだいわゆるとうもろこしタンパク質です。配合飼料、醸造調味料原料、接着剤などに使用されています。

②コーンスティープリカー

浸漬工程でとうもろこしから溶出した可溶性成分と乳酸発酵で生成した成分を含む浸漬水を濃縮した液状製品で、大半は栄養成分としてコーングルテンフィードに添加されています。一部は、医薬品や食品添加物を製造する発酵培地の窒素源としての利用もあります。

その他に、全窒素の含有量が高く、またアミノ態窒素が多くビタミン類も多く含まれていることから、抗生物質・酵素類その他の微生物工業や配合飼料などに使用されています。

③コーングルテンフィード

とうもろこしより分離された繊維(ファイバー)を主成分に、コーンジャームの搾油粕、コーンスティープリカーを添加し、栄養価を高めた飼料で、配合飼料に使用されています。

④コーンジャーム

とうもろこしより分離された胚芽を乾燥したものでコーン油の原料になります。これを搾油・精製したコーン油は、有用な脂肪酸類、ビタミン類を豊富に含み、またバランス良く含まれているため、ドレッシング、マヨネーズ、天ぷらなどに使用されています。

(5)その他の用途

でん粉を起源原料として化学的処理や発酵を経て様々なものへ変換されています。
ソルビトール・マルチトール・エリスリトールなどの低甘味料、整腸作用のあるオリゴ糖・食物繊維、臭いや味を包み込むサイクロデキストリンなど”機能性を持った食品素材”が続々と登場しています。

また、食品分野以外に環境面からでん粉を利用した生分解性プラスチック・緩衝材の開発が進められており、鉢植ポットなどの園芸用、アウトドアーで使用するナイフ、フォーク、スプーン、皿などの一部が商品化され"環境にやさしい素材"としても有望視され、でん粉の利用分野は益々広がっていくと期待されます。

日本スターチ・糖化工業会
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