穀物としての生産量では3大穀物内(とうもろこし、小麦、米)及び大豆との比較でみても、とうもろこしは最も多く約8億トン生産されている世界の主要農産物である事がわかります。
とうもろこしは他にサイレージ用(醗酵飼料用)や生食用のスイートコーンとしても生産されていますが穀物とうもろこし生産統計量には含まれません。
A01
穀物とうもろこしの主な生産国は 米国(約41%)、中国(約19%)ですが、輸出では米国(約54%)、アルゼンチン(約18%)が大きな割合を占めます。
日本は世界第6位の消費国で総消費量の約2%を占め、世界第1位の輸入国で世界総輸入量の約17%を占めます。
とうもろこし生産量
世界の生産量:812,337千トン
(2009/2010)
とうもろこし輸入量
世界の輸入量:93,024千トン
(2009/2010)
出典 : 米国農務省 「Grain,Oilseeds : World Markets and Trade」
A02
穀物とうもろこしは約1,620万トン輸入実績(2010年度)があり、第1位の輸入先は米国で約89%を占め、次いでアルゼンチン、ブラジルなどから輸入されました。日本ではとうもろこし輸入の殆どを米国に依存しています。
註:日本では生食用スイートコーンやサイレージ用で若干量のとうもろこし栽培がありますが、穀物とうもろこしの生産はされておらず全量輸入に依存しています。
A03
穀物とうもろこし輸入量約1,620万トンの約65%が飼料用に最も多く使用されます。次いでコーンインダストリー(コーンスターチ用)で約20%(約330万トン)が使用されます。
この他約15%がコーングリッツなどに加工されエチルアルコールや蒸留酒などの醗酵原料として使用されたり、コーンフレーク用、菓子用などに使用されます。
A04
原料とうもろこし(コーン)の殆どはイエロー種デントコーンが占め、その他一部の特殊用途向けにホワイト種デントコーン、ワキシーコーン、ハイアミロースコーンも使用されます。原料とうもろこしは穀物(種子)の状態で全量輸入され、主に米国から大型貨物船によるバルク輸送で輸入されます。 又、コーンインダストリーで使用されるとうもろこし種以外にも粒の組成による一般的な分類で身近なものとして、スイートコーン(甘味種)やポップコーン(爆裂種)があります。ベビーコーン(ヤングコーン)はスイートコーンの幼穂でピーターコーンはスイートコーンに含まれる品種です。その他にもフリントコーン(硬質種)、ソフトコーン(軟質種)、スターチソフトコーン(軟甘種)、ポドコーン(有ふ種)などの種類があります。
コーンインダストリーの原料とうもろこしについて少し詳しく述べますと次の様になります。
@イエロー種デントコーン
米国を中心にして最も多く商業的に生産されフィールドコーンとも呼ばれています。
コーンスターチ製造用に最も多く使用される品種であり、他に飼料用、工業用途などに大量に使用されます。
デントコーンは粒の側方に硬質でん粉部(角質部)が集まり、先端から中央部を軟質でん粉部(粉質部)が占め、乾燥すると軟質でん粉部が収縮して凹みを生じこれをデント(Dent)と称します。わが国では馬の歯の形状に似ている事から馬歯種とうもろこしとも呼ばれています。
糖質の殆どはでん粉として含まれ主成分となります。
可食部 100g当たり | |||||
エネルギー | 水分 | 蛋白質 | 脂質 | 炭水化物 ※ | 灰分 |
350kcal | 14.5g | 8.6g | 5.0g | 70.6g | 1.3g |
(出典:五訂日本食品標準成分表)
Aホワイト種デントコーン
イエロー種とはカロチノイド色素を殆ど含まない点のみが異なり、これによりとうもろこし粒は白色となります。イエロー種に比べ白色度の高いコーンスターチが得られるので、とり粉、錠剤用など白色度を求められる特殊用途向けに加工されます。
Bワキシーコーン
ワックスが含まれるのではなく、とうもろこし粒の外観がワックス様を呈しているのでワキシー種と呼ばれます。通常のうるち種に対してもち種とうもろこしとも呼ばれます。通常のデントコーンのでん粉はアミロース25%アミロペクチン75%を含みますがワキシーコーンに含まれるでん粉はアミロペクチンのみで構成されており、増粘用など特殊用途向けにワキシーコーンスターチとして加工されます。
Cハイアミロースコーン
含まれる澱粉が通常のデントコーンに比べてアミロース含量が多く、アミロース含量により等級分けされています。接着用途など食品および工業用の特殊用途向けにハイアミロースコーンスターチとして加工されます。
A05